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安全を察知し、産業インフラの未来を切り拓くスタートアップが広島大学に誕生— 振動を高速で可視化、“時間を奪わない計測”のSYNRA が始動 —

【概要】

広島大学大学院先進理工系科学研究科の研究チームは、SYNRA 株式会社(シンラ:本社=東京都大田区北千束3丁目208号 、島﨑航平代表取締役社長)を2025 月に設立しました。同社は、国立研究開発法人科学技術振興機構の「大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム」の支援を受けた「Peace & Science Innovation Ecosystem(後述)」が実施する「GAP ファンド支援プログラム」を通じて設立された初のスタートアップ企業です。

このたび、光学と工学を融合して、生産現場の振動を可視化する独自技術を開発しました。今後、国内外のさまざまな製造現場への導入を目指し、振動による設備の故障を抑え、点検や計測といった作業の負担の軽減を図っていきます。

 

 

 

■SYNRA について

世界中の生産現場では、作業員が高熱・有害ガス・高電圧といった危険な環境にさらされている現場がまだあり、突発的な振動や故障による停止で、なかには1分あたり数百万円の損失が発生しているケースもあります。

しかし、そういったトラブルを防ぐ点検や診断の“作業そのもの”も、作業員の負担を増やし、コストアップにつながるという要因にもなっています。そこで、広島大学先進理工系科学研究科の島崎を中心とした研究チームは、工場やプラント・社会インフラの現場における数百件以上の計測実績をもとに「時間を奪わない計測(Snapshot Condition Monitoring)」を開発しました。

 

SYNRA の技術と特長

SYNRA の中核技術は、高速カメラとAI を用いて振動の分布をその場で読み解く非接触センシングです。

特長:「見えない振動」を見える化し、突発停止の予兆把握や安全性向上に寄与

・高速診断:高速カメラ台で、振動分布をリアルタイムに可視化します

・非接触・高安全性:危険領域に入ることなく診断できます

・高い汎用性:ポンプ・ブロワー・配管など多様な機器に対応

・高い耐久性:各種製造ライン・上下水プラントなど厳しい環境でも作動

 

■従来技術との違い

従来型では、各機器や構造物に加速度センサーや振動センサーを複数設置し、それぞれ配線・設置・保守が必要です。これには大きなコストと時間、現場作業員の手間が伴います。

一方、SYNRA の技術は「高速カメラによる非接触振動イメージング」で、センサーそのものが不要なうえ、遠隔監視を可能とし、工数・導入コスト・運用負荷を大幅に軽減します。カメラ1台で数百台のセンサーを代替する応用例もあります

 

■今後の展開

・国内外の製造業でのパイロットプロジェクト開始

・インド・ハイデラバードに拠点を開設し(T-Works, Japan Business Centre)、さらに東南アジアにも進出予定

・プロダクトをJapan Experience Centre に展示、国際的な認知を拡大する

・国際展示会(VivaTech など)への出展を通じ、グローバルに発信

・広島・東京・インド・東南アジアを結んだ「グローバル機械診断プラットフォーム」の構築

 

■Peace & Science Innovation Ecosystem(PSI)について

PSI は、豊かな自然環境を抱える中四国地域を中心に、「平和を希求する精神のもと、世界にイノベーションを生み出す」ことをビジョンとし、10 年後には、「世界中からスタートアップや支援者が結集し、平和を希求しながら世界にイノベーションを生み出すグローバルエコシステムの1つとなる」ことを目指しています。

このビジョンを実現するため、GAP ファンド支援プログラムの実施、支援人材の拡充、起業環境の整備、グローバル拠点の構築等を行っていきます。SYNRA PSIが運営するGAP ファンド支援プログラムで支援を行ったプロジェクトとして、初めて起業に至ったスタートアップです。

なお、PSI の活動は国立研究開発法人科学技術振興機構 「大学発新産業創出基金事業 スタートアップ・エコシステム共創プログラム」による補助を受けて実施しております。

 


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